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地政学的リスク

今朝経済ニュースを見ていたら、ここのところ通貨や株価が安定しない理由について解説者が「地政学リスク」を連呼していた。

北朝鮮の事のようだけど、ちょっと言葉が気持ち悪かった。地政学とは、「地理的な環境が国家に与える政治的、軍事的、経済的な影響を、巨視的な視点で研究するもの」(Wikipedia)だ。もっとも学問としては相当胡散臭い分野なんだけど。本来この分野は地理学でいいはずで、地理学には政治や経済や民族の研究も含まれるからね。経済地理学や政治地理学など細分化したもので言い換えてもいい。

でも今回の北朝鮮の件は地政学関係ないよね。アメリカにとっては朝鮮半島が近いか遠いかなんてどうでも良い事で地理は影響しない。厳密な地政学の定義はともかく、普通は地政学と言えば南北朝鮮とか、シリアとイスラエルとか、イランとイラクとか、サバンナチホーとジャングルチホーとか、そういうローカルな国家間の状況を指す場合に使う言葉であって、今回違うよね。これが火星にヴァース帝国みたいな独立国とかがあれば、地球ローカルって事で地政学と言えなくもないだろうけども。

株式や通貨や商品の世界では「地理的な位置関係により、その特定地域の経済、もしくは世界経済全体の先行きを不透明にするリスクのこと」(野村證券・証券用語解説集)なんだそうだけど、これに照らし合わせても誤用だよね。ついでに「的」も抜けてるし。

要するに国外の紛争が経済に与えるインパクトをなんでも「地政学的」って言っちゃう経済評論家や証券マンは勉強不足の恐れ大なので信じちゃいけません。

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ちなみに息子の時間割見てたら最近の高校は地理って必修じゃなくなってるのね。知らなかった。必修科目は世界史だけ。なんでじゃ。

そりゃ世界史は大切だけどさあ。正直言って日本史も世界史も概略だけ知ってりゃ良くて、別に何代将軍と問われれば名前が言えるとか、ハプスブルク家から出た国王は誰とか、メディチ家の誰が何をしたとかどうでも良いと個人的には思ってるんだけど。政治的変遷や経済的経緯さえ抑えておけば十分だろうと。武将の名前とか無双系ゲームでしか役にたたんし。

でも地理は生活の色んな分野に一生涯にわたって関わってくる。食べ物・仕事・人間関係、何にでも必要な知識なんだから、ここを必修にしなくてどうするんだと文科省小一時間問い詰めたい