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約束の方舟

こんなのを読んだ。ハヤカワ文庫のJA読むのは久しぶり。

約束の方舟、瀬尾つかさ著。

ハード系や精神系が多いハヤカワ文庫ではかなりジュブナイル寄り。多世代恒星船の少年少女+ぷよぷよ宇宙人と、大人世代の軋轢を中心に色々するお話。

面白かった。内容は主人公が12才・15才・18才の3章に分かれているんだけど、12才最後に起こる事件から最後までは一気に進む。長めの小説だが一晩で読んだ。12才終わる頃にはオチが読めてほぼその通りに物語は進んだのだがそれは逆に読みやすいとも言える。

しかし、最近これほど読後感の悪いものも無かった。いやストーリーも面白いしキャラクターも皆それぞれ魅力的なんですよ? でも最後が色々投げっぱなしで非常にもやもやする訳で。

言いたい事は色々あれど、まず何と言ってもテル-ウィルトト-マザー内でマザーの記憶と思考が復活したからと言って、テルが何故消えるのか。シンゴにだってマザーの記憶はダウンロードされていてほぼ完全にそれを扱えるというのに、遙かに演算能力が高いはずのウィルトト-マザーにそれが出来ない理由は何? その方がキリナ関連で色々都合が良いのは確かだけど、もう少し納得できる理由が欲しかった。せっかく可愛いのによう。ここはやっぱり延々キリナと争わせるハーレムエンドが良いかと。この辺だけ妙にハヤカワ風味なんだよねえ。

ウィルトトに食われたテルが何故マザー内で再生されたのかも良く分からなかった。最後シンゴがシンクしたマザーのコアに触れた際に記憶をダウンロードさせられているあたり、コアにはそういう通信機能があるんだろうけど。でも融合時のテルはウィルトト内にいたんだよね、骨をバキバキに折られて酸で溶かされた姿で。色々理由は付けられそうだけど、ここいら説明足りなくてちょっと。

そして最重要事項。ブリッジに潜入するために通気ダクトに進入したシンゴとテル。この時テルはスイレン作の白いワンピースを着ていたが、途中で球形のベガー形態に戻っている。さてワンピースはどうなったのか。北斗の拳ケンシロウのシャツみたいにビリビリに破れたのか。 それともベガーの体内に取り込んだのか。そもそも下着は着けていたのか。縞はあったのか。そこんとこどうよ。スイレンがワンピだけ着せて許してくれるとは思えない、必ずパンツ穿かせたはずだろう性格的に。

とまあ色々あれど、すっきりしない終わり方もたまには良いかな。定価で元が十分取れる作品でした。SF苦手な方にもお勧め。