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小説版武装神姫

買ってみた。 140623-IMG_1108.jpg 正直あんまり期待してなかった。モエモエ~のキャッキャウフフ、アニメと似たノリなんだろうなあ、と。じゃあ何故買ったと言われるとブタペスト。 ところが中身は中年刑事が主人公のソフトなハードボイルド(?)だった。密室ガス殺されるわ拉致監禁されるわ刺されるわ撃たれるわ爆発するわ、それも神姫がじゃなく人間が。アニメみたいに神姫のコミュニティとか友達とかチキチキマシン猛レースとか出てこない。主人公以外は神姫をあくまで機械扱いしかせず愛はかけらも無い。総じて人間は裏切りが基本で、神姫が最後に残った良心的な扱い。1巻から3巻に進むにつれて人間ドラマが薄れて神姫バトルが前に出るきらいはあるものの、予想外に良い感じで面白かった。 ひとつ気になったのは、1巻で病院のシーンがあるのだがそこで障害者を「障がい」と今風に記述してること。この書き方は最近のトレンドなので別に問題は無いのだが、私は好きではない。例えば佐賀県知事こんな記者会見を行うなど認知度も高まってきていて「害」の文字の印象が悪いというのは分からなくもない。 がしかし、なら「障」(さわり)はいいのか。これは主に「邪魔」という意味だし、病気、それも神や悪霊によるたたり的な意味でも使われる事も多い。障害は先祖の悪行が原因だ~みたいな意味にすらなりかねない文字で「害」よりも数段イメージ悪いと思うんだがそれは良いのか。そもそも「障害は疾病ではないから基本的には治癒しない」んだから尚更病気の意味がある「障」こそ問題にすべきじゃないのか。じゃあいっそ全部ひらがなで「しょうがい」で、ってそれは判りにく過ぎるから、やっぱり「障害」に戻すか、完全に別の単語を作るとかでいいんじゃないの? と前々から思っていた。 で何が言いたいかと言うと、作中で「障がい」と書いてしまう言語感覚は小説家としてちょっとどうなんだろう、という事。ましてやハードボイルド系の小説、それも刑事が犯罪者の拠点となっている病院に潜入捜査している場面で「障がい」って出てきたもんだから、もう緊張感も霧散してヘナヘナ~っとなってしまったわけですよ。台無し。 ただこれ、もしかしたら社会的配慮とやらで編集者に修正されちゃった可能性も高い気がする。他の部分では古風な単語を多用してるので、ここだけイマドキなのは大変違和感があって怪しい。 そこのところだけ残念だったが、しかし全体的な出来は大変良かった。続巻キボンヌ。 ### ちなみに「障害」の元の表記は「障碍」だけど、同じような単語を挙げた当用漢字の代替一覧を見ると、いかに文部省(文科省)が日本語を殺してきたか良く分かります。古くて読みにくい字を無理に残せとは言わないけど、「焦躁感」を「焦燥感」(躁は気分High、燥は乾くの意)とか「広汎」を「広範」とか、意味違うにも程があるじゃん。